毎月、顧問税理士から試算表が届く。でも、どこを見ればいいかわからないまま、引き出しにしまってしまう。そういう経営者の方は、実は少なくありません。試算表は、経営の現在地を示す地図です。読み方を知っていれば、次の一手を考えるための材料になります。

1. 売上総利益率(粗利率)を毎月確認する

売上総利益率は、売上から仕入れや製造原価を引いた後に残る利益の割合です。この数字が下がっているときは、仕入れコストが上がっているか、値引き販売が増えているかのどちらかであることが多いです。前月比・前年同月比で見る習慣をつけると、変化に早く気づけます。業種によって適正な粗利率は異なりますが、自社の過去の数字と比較することが最初のステップです。

2. 営業利益がプラスかどうかを確認する

売上総利益から販売費・一般管理費(人件費・家賃・広告費など)を引いたものが営業利益です。本業で利益が出ているかどうかを示す数字です。営業利益がマイナスでも、補助金や保険金などの営業外収益で最終的な利益がプラスになることがありますが、それは本業の問題を隠しているだけです。営業利益の推移を3か月単位で見ると、傾向がつかみやすくなります。

3. 売掛金の残高が増えていないか確認する

売上が伸びているのに手元資金が減っている場合、売掛金の回収が遅れていることが原因であるケースがあります。試算表の貸借対照表の部分で、売掛金の残高が前月より増えていないかを確認してください。特定の取引先への売掛金が膨らんでいる場合は、回収サイトの見直しや、与信管理の強化を検討するタイミングです。

4. 借入金の残高と月商の比率を把握する

借入金の残高が月商の何か月分に相当するかを計算しておくと、財務の健全性の目安になります。一般的に、月商の6か月分以内であれば比較的安全とされますが、業種や成長フェーズによって異なります。借入金が増えているときは、その資金が設備投資に使われているのか、運転資金の補填に使われているのかを区別して考えることが重要です。

5. 試算表は『前月比』と『前年同月比』の2軸で読む

試算表を単月で見るだけでは、季節変動の影響を受けて誤った判断をしてしまうことがあります。飲食業であれば夏と冬で売上が大きく変わることがありますし、小売業であれば年末商戦の影響が出ます。前月比で短期の変化を、前年同月比で季節調整後の実力を確認する習慣をつけると、試算表から読み取れる情報の質が上がります。

試算表の読み方に正解はありませんが、毎月同じ視点で見続けることで、自社の数字のリズムがわかってきます。読み方について疑問がある方は、お気軽にご相談ください。